永見 豊 [ NAGAMI Yutaka ]
大学院所属研究科 工学研究科 情報・デザイン工学専攻 職名 准教授
担当科目



学内役職・課外活動担当クラブ等
産学連携研究センター 副センター長
地域連携研究センター 副センター長

自己紹介・学生へのメッセージ
大学時代の恩師から「デザイナーは夢を語る仕事」だと教わりました。デザイナーは新たな価値を創造し、暮らしを豊かにすることを目指します。人々を幸せにする夢のある目標像を示し、共感できる物語をつくることで、賛同者が増え、デザインが実現していくからだと思います。まちづくり活動では、学生や地域の皆さんと一緒になって、持続可能な未来を語ることが、これからのデザインの役割だと考えています。


学 歴
年月 学歴 学位
論文
1991年3月中央大学 工学部 土木工学科 卒業工学学士
高架橋における景観設計の留意点
1993年3月千葉大学大学院 工学研究科 修了工学修士
発電プラントの景観設計に関する基礎的研究

職 歴
年月 職歴
1993年4月株式会社 長 大 構造計画第3部 メンバー(入社)
1996年10月財団法人 道路環境研究所 研究員(出向)
1998年10月株式会社 長 大 構造事業部 シビックデザイン室 メンバーチーフ
2003年6月株式会社 長 大 構造事業部 構造技術1部門 プロジェクトマネージャ
2004年4月拓殖大学 工学部 工業デザイン学科 専任講師
2009年4月拓殖大学 工学部 デザイン学科 准教授

研究業績
研究分野活動
研究テーマは主に、視覚的交通安全対策、地域活性化の2つである。視覚的交通安全対策では道路管理者との共同研究として、視覚効果を考慮した路面標示デザインによる高速道路の逆走対策や3D横断歩道の開発に取り組んでいる。地域活性化では本学の地域連携センターの委員として、国際学部や商学部との連携や共同研究としてウルシの木の活用や盛岡市の雁喰豆の商品開発に取り組んでいる。
研究課題
<地域活性化>
 企業と連携して地域活性化の取り組みに参加している。今年度から「ウルシの木の活用プロジェクト」、「雁喰豆の商品開発」に学生と一緒に取り組んでいる。現地に出向いて環境を知り、意見交換を通して、発想を高める方針としている。
<視覚的効果による高速道路の安全対策>
 高速道路の安全対策として、路面標示や壁面のデザインを対象として、運転者の受ける速度感の錯覚を応用して、安全対策に効果のあるデザインを検討している。研究室にあるドライブシミュレータを用いて検証を行っている。今後は、標識を含めたシークエンスデザインを進める。
研究助成等
年月 区分 課題番号・名称・題目・機関名等
2009年4月科学研究費補助金21656128『反復効果』に着目した走行空間デザインに関する研究
2010年2月学外受託研究「三郷管理事務所管内 大泉JCT安全対策検証業務」ネクスコ東日本エンジニアリング
2019年4月科学研究費補助金19K04643 高齢運転者に対する注意喚起を目的とした立体路面標示の開発
2019年2月学外共同研究「高速道路における新たな立入・逆走防止対策手法の検討」, ネクスコ東日本エンジニアリング
2011年4月科学研究費補助金23560878 金属テクスチャの審美的特性の生成要件に関する研究
2014年2月学外受託研究「安全性向上に向けた交通心理に関する研究」NEXCO中日本
2014年10月学外受託研究「安全性向上に向けた交通心理に関する研究」NEXCO中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京
2016年7月学外受託研究「新たなデバイスを活用した交通情報提供に関する研究」NEXCO中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京
2020年6月学外共同研究「ウルシの木の活用プロジェクト」FEEL J
2020年7月学外共同研究「古紙の新規用途開発プロジェクト」大久保
2021年6月学外共同研究「高速道路休憩施設の交通安全対策手法の検討」, ネクスコ東日本エンジニアリング
2022年4月学内共同研究「道路情報板の活用方法に関する研究」, 名古屋電機工業
資格・特許等
年月 名称
2003年3月技術士(部門:建設部門 分野:建設環境)

著書・学術論文等
種類 発行又は発表の年月 著書、学術論文、作品等の名称 発行又は発表雑誌等又は発表学会等の名称 該当頁
概要
著書(共著)2019年7月実践!まちづくり学-コミュニティを幸せにする、デザインの挑戦-大空出版 
 
学術論文(単著)2007年10月景観法の活用に向けての提案 : 景観アドバイザーとしての参画デザイン学研究特集号 15巻(1)34-35
本稿では、デザイン学会会員が景観アドバイザーとしてまちづくりに参画していくために、本学会で取り組むべき内容を提案した。
学術論文(単著)2009年6月利用目的に特化した街区公園の提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 56巻F13-14
八王子市の街区公園を対象として利用者の要望を調査し、利用目的に特化した街区公園の提案を行った。
学術論文(単著)2009年10月Sequence Pattern Design of Long Tunnel to Improve a Monotonous EnvironmentInternational Association of Societies of Design of Research 2009CD-ROM
Scenic drive is one of pleasure of drive. However, in the monotonous road space as the tunnel, concentration has deteriorated in order to have got tired of driving. In monotonous road space, there is hardly an example of traffic measures not to let drivers get tired. As the example that improved monotonous road space in a tunnel, there is Odori tunnel of Chubu Jyudan expressway in Japan. In the tunnel, patterns of a various stick are applied by the tunnel wall. From the questionnaire for Odori tunnel, it was understood that necessity to design the pattern that it is easy to recognize more. In this study, tunnel wall pattern of the highway was designed not to let drivers get tired. The following is the design points. The tunnel was sorted to four zones and established concept of introduction, development, denouement and conclusion. The color, form and layout of pattern were decided to adapt each concept. It was confirmed whether the driver did not feel the pattern with complicatedness using the drive simulation by computer graphics.
学術論文(単著)2009年10月単調さの解消を目的としたトンネル壁面のシークエンスデザイン拓殖大学理工学研究報告Vol.11, No.113-20
長大トンネルの単調さによる意識低下を防ぐため、トンネル壁面にシークエンスデザインを施した小鳥トンネルが2004年に完成し、その効果が確認されている。2008年には速度抑制を目的として壁面デザインを施した稲荷山トンネルが完成した。本研究では、この2つのトンネルの調査を行い、壁面シークエンスデザインの知見を整理し、ケーススタディとして長大トンネルの単調さの解消を目的とした壁面シークエンスデザインを提案した。
学術論文(単著)2010年3月矢部川大橋の景観設計日本デザイン学会 デザイン学研究作品集2009,15号52-55
矢部川大橋は、橋長517m、中央径間長261mを有する3径間連続PC斜張橋である。本橋は平面曲線を有することから、主塔を傾斜させることで、主塔に作用する断面力が改善された。傾斜主塔は他に例を見ない形式であり、景観設計では傾斜主塔の特徴を活かしたシンボリックな主塔デザイン、および地域住民や自然環境に対して圧迫感を軽減するディテールデザインを行った。
学術論文(単著)2011年3月梁川ダム付替国道9号橋の景観設計日本デザイン学会 デザイン学研究作品集2010,16号84-87
簗川ダム付替国道9号橋は、ダム湖を横断する橋長264.0mの2径間PC連続エクストラドーズド箱桁橋である。未整備であるダム湖のイメージを確認するため、模型やComputer Graphicsを用いた景観シミュレーションを行いながら景観設計を進めた。また、主塔のデザインでは、本橋の特徴である低い塔高の主塔とそれを支える橋脚との造形的関係について、形の成り立ちの明確化を心がけてデザイン検討を行った。
学術論文(単著)2011年3月間接的な注意喚起を促す高速道路の路面表示デザイン日本デザイン学会 デザイン学研究作品集2010,16号80-83
2009 年度の交通事故件数は70万件を超えるほど多く、大きな社会問題となっている。特に高速道路では、カーブ区間や分合流箇所でのスピードの出し過ぎによる事故が多く、注意喚起のための看板やカラー舗装による安全対策が行われている。本稿では、カーブ区間での路面による注意喚起を対象とし、路面パターンの変化による視覚効果に着目し、運転手への煩わしさを減らしつつ、速度抑制とカーブへの意識向上に寄与するパターンを提案した。パターン変化については、ハンドルとアクセル、ブレーキによる自ら運転を体験できるシミュレーションを用いて、その効果を検証した。提案した矢印図形が徐々に形を変えていくパターン変化は、国内の高速道路では事例はない。実用化に向けては、交通管理者との協議や実物実験が必要であり、本提案は視覚効果による交通安全対策の一つの手法を示したのもである。
学術論文(単著)2012年3月カントー橋の景観設計日本デザイン学会 デザイン学研究作品集2011,17号60-63
カントー橋は、ベトナム南部に広がるメコンデルタ地帯に架かる国道1号線の橋である。橋長は2750m、河川を渡る区間は、東南アジア最大となる支間550mの斜張橋である。筆者は景観設計を担当し、ランドマークの位置づけとなる主塔デザインとライトアップ、延長の長い桁の連続性の確保の検討を行った。本稿では景観設計のプロセスを紹介する。
学術論文(単著)2017年5月高速道路への誤進入対策高速道路と自動車 Vol.60, No.5 
 
学術論文(単著)2022年12月路面のカラー標示による損路誘導の向上高速道路と自動車 Vol.65, No.127
 
学術論文(共著)1992年6月高架橋における景観設計の留意点についてデザイン学研究 1992(93)65-66
全国の主だった高架橋および取付高架橋30橋を取り上げ、現地調査や分析を通して高架橋の景観設計の留意点を考察した。
学術論文(共著)2003年9月アイデアコンペ参加による橋梁デザインに関する一考察土木学会第58回年次学術講演会概要集Ⅳ-313625-626
橋梁デザインの実習課題として取り組んだ「ソウル市の主催する橋梁アイデアコンペ」概要を紹介するとともに、受賞作品の特徴から橋梁デザインに求められる要件を考察した。
学術論文(共著)2005年3月ユーザ・エクスペリエンスを考慮したWebコンテキストデザイン電子情報通信学会技術研究報告Vol.105, No.16131-36
㈱バッファロー社との産学協同プロジェクトにおけるデザイン提案として、ユーザ・エクスペリエンスを考慮したWebコンテキストのデザインを行った。
学術論文(共著)2005年3月パソコン周辺機器のあり方並びにそのセールスプロモーションに関する研究拓殖大学理工学研究報告,Vol.9 No.39-24
 ㈱バッファローの協力を得て、拓殖大学工学部工業デザイン学科の授業の一環として行ったプロジェクトの成果報告である。幅広いデザイン領域をもつ学科構成の特徴を活かし、プロダクトデザイン、ビジュアルデザイン、コンテンツデザインというデザイン領域を横断した形でプロジェクトを行った。
学術論文(共著)2005年11月Some Notes on Aesthetic Design of ViaductInternational Association of Societies of Design Research 2005G6-2
全国の主だった高架橋および取付高架橋30橋を取り上げ、現地調査や分析を通して高架橋の景観設計の留意点を考察した。その結果、(1)取付高架橋では主桁とのつながりを考慮し考え方を徹底する。(2)高架橋では立地条件により径間整備の方向を定める。(3)全般的留意点として連続性の確保、桁下の開放感、付属物の処理方法と造形に留意すること、の3点をあげることができた。
学術論文(共著)2006年3月Web Contexts Design by User ExperienceDesign シンポジウム2006講演論文集231-236
㈱バッファロー社との産学協同プロジェクトにおけるデザイン提案として、ユーザ・エクスペリエンスを考慮したWebコンテキストのデザインを行った。
学術論文(共著)2006年3月PC周辺機器のためのデザインブランドの展開拓殖大学理工学研究報告,Vol.9 No.417-26
㈱バッファローの協力を得て、拓殖大学工学部工業デザイン学科の4年生、工業デザイン学専攻の1,2年生が行った産学協同プロジェクトの報告である。3回目を迎える今年度は、「PC周辺機器のための新しい商品ブランドの展開」というテーマに取り組んだ。
学術論文(共著)2006年3月ユーザ・エクスペリエンスを考慮したWebコンテキストデザインデザイン学研究作品集2005,Vol.1180-85
㈱バッファローの協力を得て、拓殖大学工学部工業デザイン学科の授業の一環として行ったプロジェクトの成果報告である。その中で、Web上で製品紹介をする場合の従来の問題点とその問題点を改善することによる新しいコンテンツデザインの方向性、すなわち「コンテンツデザインからコンテキストデザインへ」のデザインコンセプトを提案した。
学術論文(共著)2007年9月下路式桁橋のデザイン改善に関する考察(その2)土木学会第62回年次学術講演会概要集Ⅳ-196391-392
道路橋として下路式桁橋を計画する場合,橋面上の利用効率や構造上の課題があり,これまで適用された例が少ない.本論は,これら構造上の課題を改善し,デザイン的に特徴のある下路式桁橋の提案を行った.
学術論文(共著)2007年11月A CASE STUDY ABOUT IMPROVING THE CIVIL ENGINEERS' ABILITY OF AESTHETIC DESIGNInternational Association of Societies of Design Research 2007CD-ROM
橋梁デザインの実習課題として取り組んだ「ソウル市の主催する橋梁アイデアコンペ」概要を紹介するとともに、受賞作品の特徴から橋梁デザインに求められる要件を考察した。その結果、橋梁デザインにおいては、構造的な合理性を持った新しい構造形式の提案だけではなく、一般市民に目を向けた理解しやすいプレゼンテーションや快適な橋上空間も重要な要素であることが分かった。
学術論文(共著)2008年6月反復効果に着目した道路内部景観に関する研究(2)日本デザイン学会研究発表大会概要集 55巻214-215
高速道路の上り坂とトンネル入り口部を対象として、「減速させない工夫」の提案とその検証方法について研究を行った。
学術論文(共著)2008年6月反復効果に着目した道路内部景観に関する研究 (1)日本デザイン学会研究発表大会概要集 55巻108-109
「動的視点で見た場合のパターンと印象の関係」の傾向を探り、その応用として、「単調さを改善する遮音壁のデザイン提案」を行った。
学術論文(共著)2008年6月防犯・安全・景観に配慮した公園の提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 55巻210-211
八王子市の街区公園をモデルケースとして、防犯、安全、景観の向上に必要な要素を整理し、安心、安全、快適に利用できる公園の提案を行った。
学術論文(共著)2008年6月都市のランドマークとなる斜張橋南倉大橋の景観設計土木学会 景観デザイン論文集No.41-9
韓国南西部の全羅南道の道庁移転に伴い、大規模な新都市開発が進められている。その都市への入り口に位置する南倉大橋において、筆者らは、橋梁デザインとそのコンセプト作成に携わった。報告書やプレゼンテーションでは、「造形」は「コンセプト」より導かれる順序となるが、実際の設計プロセスにおいては、必ずしもそのとおりに作業が進むわけではない。本設計においても、「コンセプト」と「造形」は双方向的に導きあい、最終的な提案へと収束していった。本稿では、その思考過程について述べる。
学術論文(共著)2008年6月釜山新交通の高架橋デザイン土木学会 景観デザイン論文集No.411-20
韓国で始めてとなる本格的な新交通システムの導入にあたって、釜山交通公団によりコンペ形式による設計・施工一括方式の工事入札が行われた。筆者らは、景観工学的観点より、高架橋単体のデザインのみならず、路線線形や駅舎のプラットホーム形式など、上位計画にまで踏み込んだ提案を行ったところ、それが採用されるに至った。本稿では、そのプロジェクト概要とともに、筆者らが提案したコンセプトやそれを踏まえた検討、個々のデザイン、印象評価による検証などについて述べる。
学術論文(共著)2009年6月サービスビジネスとデザインについての一考察日本デザイン学会研究発表大会概要集 56巻342-343
学生によるコンビニエンスストアのデザインを事例として、サービスビジネスとデザインについて考察した。
学術論文(共著)2009年6月反復効果に着目した道路内部景観に関する研究(3)日本デザイン学会研究発表大会概要集 56巻340-341
パターンの反復効果の特徴を整理し、飽きの解消を目的としたトンネル壁面のパターンデザインを提案した。
学術論文(共著)2010年3月豊島大橋の景観設計日本デザイン学会 デザイン学研究作品集2009,15号48-51
豊島大橋は、中央径間540mの単径間鋼吊橋として計画された。架橋地域は瀬戸内海の穏やかな海と緑あふれる島々からなる美しい自然環境を有する地域である。本橋は主塔を有する大規模構造物であり、新たな景観を創出する位置づけにある。構造物としての機能美を引き出し、周辺景観との調和を図ることを目的として景観設計を行った。特に主塔では、足長のすらりとしたプロポーションを活かして、水平材と塔頂部のデザインにより軽やかな印象と個性を与えるデザインを行った。本稿では、これらの検討プロセスを紹介するものである。
学術論文(共著)2010年6月反復効果に着目した道路内部景観に関する研究(4)日本デザイン学会研究発表大会概要集 57巻8-9
速度抑制を目的として、間接的な注意喚起を促す高速道路の路面標示デザインを提案した。
学術論文(共著)2010年6月指定管理者制度による公園利用活性化の提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 57巻H20-21
指定管理者制度による管理・運営方法について、八王子市の公園をモデルケースとして公園利用活性化の提案を行った。
学術論文(共著)2010年11月3Eデザインを考慮した高架道路の提案拓殖大学理工学研究報告Vol.11, No.215-22
 
学術論文(共著)2011年9月高機能可変式道路情報板の判読性向上に関するデザイン検討第31回交通工学研究発表会論文集177-180
高速道路上の可変式道路情報板における視覚要素の構成手法について,ドライブ・シミュレータを用いた走行実験により明らかにし,まとまり知覚と視線誘導を重視した構成が判読距離の延長に寄与することを明らかにした.
学術論文(共著)2012年3月リズム感を演出したトンネル壁面のパターンデザイン映像情報メディア学会技術報告 36.16121-124
壁面のパターンを運転手のような動的視点で見た場合、どのようなパターンの時にリズム感を感じるかを印象評価実験により探り、リズム感を演出したトンネル壁面のパターンデザインを行った。
学術論文(共著)2012年9月可変式道路情報板に標示されるシンボルの分かりやすさに関する検討第32回交通工学研究発表会論文集199-204
本研究は、高速道路の可変式道路情報板に標示される現行シンボルを対象として、理解度調査と印象評価実験から分かりやすさ向上のための要件を考察した。印象評価実験では、マルチカラー化による再現性の向上からその有意性が確認できたが、改善を要するシンボルが多いことも明らかとなった。改善を要するシンボルは、理解度調査でも同様であり、その共通点は車が描かれていることであった。そこで、車を描写する際の分かりやすさの要因を抽出し、その重要度を数量化理論Ⅰ類で分析した。その結果、図材に車を用いる際は、事象を表す図材と車との関係性を明確に表現することが重要であり、その手法は動作の前後関係をつながりで示すことが有効であることが分かった。
学術論文(共著)2012年9月速度抑制を目的とした路面標示パターンのDS評価および効果検証第32回交通工学研究発表会論文集171-175
東京外環自動車道の大泉ジャンクションBランプは、急勾配の下り坂から急カーブの続く道路構造のため、速度超過による転倒、追突、衝突などの事故が多発している。そこで、速度抑制を目的として路面標示パターンの設置間隔や形状を見直すこととした。赤色舗装と導流レーンマークの組合せによる路面標示パターン案を作成し、DS(ドライビングシミュレータ)を用いた走行体験により速度抑制の効果を評価した。運転挙動では、認識しやすい図形が短いピッチで繰り返し出現することが速度抑制に効果があり、運転手の意識は、認識しやすい図形が強調されると、速度抑制への意識が高まることが分かった。
学術論文(共著)2013年3月イ・スンシン大橋の景観設計日本デザイン学会 デザイン学研究作品集2012,18号66-71
イ・スンシン大橋は麗水国家産団進入道路の中で、麗水市の猫島と光陽を結ぶ韓国最長の吊橋である。本橋は交通機能の向上、地域の発展、技術の象徴として位置づけられ、韓国を代表する橋梁としてのデザインが求められた。そこで「近代性、合理性および品位を保ちつつ、韓国の造形思想の世界化を図る」ことをデザインコンセプトとして、橋梁全体のプロポーション、各種構成要素の造形、部材ディテールの決定に至るまで、総合的にデザインを展開した。 一般的な橋梁デザインは経済的合理性および構造的合理性から全ての検討が始まり、そこで構造形式や基本フォルムが決定するが、本橋の場合は景観検討がそれらと同等に位置づけられ、計画から仕上げに至るまで極めて重要な役割を果たした。
学術論文(共著)2013年3月南倉大橋の景観設計日本デザイン学会 デザイン学研究作品集2012,18号60-65
韓国南西部の全羅南道の道庁移転に伴い、大規模な新都市開発が進められた。新都市へのアクセス道路の中で南倉川を渡る南倉大橋は、都市の入口部に位置し新都市のゲートの役割を担うことから、コンペ形式で設計者が決まることになった。筆者らは韓国の設計コンサルタントの景観アドバイザーとしてプロジェクトに参画し、我々の設計案が特定された。設計案は、ランドマークの役割を果たすべく特徴的な構造形式を選定し、橋長172.5m、支間112.5mの非対称傾斜主塔のPC斜張橋を提案した。韓国の風水地理をヒントに主塔部を龍と見立てた「新都市の発展を見つめる龍の橋」をコンセプトに設定し、主塔のデザインを行った。造形の自由度が高いコンクリートの特性を活かし、主塔とケーブルアンカーの一体感を持たせた曲線による側面形状、テーパーや面取りによるシャープな断面形状を検討し、構造美を活かす造形を創出した。
学術論文(共著)2013年6月高速道路出入口における自転車・歩行者による誤進入対策の提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 60巻33-34
高速道路に自転車や歩行者が進入する事案が後を絶たない。、2012年に高速道路に立ち入り、保護されたケースは189件あり、立ち入り理由で最も多かったのは「道に迷った」、次いで「認知症」、「故意」であった。「道に迷った」では、高齢者などが高速道路の入口や出口につながる道路を進むうちに、知らないまま高速道路まで立ち入ってしまうことが多いという。首都高速道路では、出口部と入口部に立入禁止看板を設置し立入防止対策に取り組んでいるものの発生件数は横ばいである。 本稿では、誤進入の原因を想定し、それぞれの対策方針を設定し、首都高速道路東京湾アクアライン浮島入口を対象として、誤進入対策のフォトモンタージュを作成して、見え方を確認した。誤進入対策に効果的と考えられる提案は、路面のカラー舗装と「首都高速」の表示であり、さらに壁面や柱にも首都高のイメージカラーを加えた案は「空間の差別化」が図れ効果的と考える。次にイメージハンプを配置した「視覚的な遮蔽」、自転車・歩行者の目に入りやすい設置位置、見落とした場合にも目に付くような連続配置であった。
学術論文(共著)2013年8月Requirements for Comprehensibility of raphic Symbols Based on Japanese Expressway Information BoardInternational Association of Societies of Design of Research 2013691-700
VMSに表示されているシンボルについて,ドライバーの理解度と印象から導いた構成方法や構成要素に関する要件に従ってシンボルをデザインし,一対比較による検証から各要件の有効性を明らかにした.
学術論文(共著)2013年12月韓国の橋梁プロジェクトにみるデザインのバリューチェーン橋梁と基礎 47(12)34-39
韓国の大型プロジェクトのすべてが優れたデザインを生み出しているかというと必ずしもそうではない.文化の違いとはいえ,中には首をかしげたくなるような装飾過剰なデザインも見受けられる.つまり,韓国の発注システムそのものが優れたデザインを生み出すのに十分な仕組みであるとは言いきれない部分もある.しかし,一貫したバリューチェーンが構築されやすいこととデザインに競争原理が働くことが,より優れたデザインを生み出しやすい状況をつくっていることも確かである.また,発注ロットを大きくすることによって,効率的で効果的なデザインマネジメントが行われやすくなっている.橋梁デザインは,建築やプロダクト,ファッションなど他分野のデザインに比べてエンジニアリングとの一体不可分性が高い.確かにそれは,橋梁デザインを難しくしている点ではあるが,そのこと自体は設計技術の問題として本気で取り組めば,実はそれほど困難を伴わずにクリアできる問題である.むしろ,他分野で当然のこととして行われているデザイン・バリューチェーンの構築が,公共事業という枠組みの中で,いかにすれば可能で,いかにすれば価値創造を成し遂げられるのかということの方が困難な問題をはらんでいる.
学術論文(共著)2014年7月シークエンスに配慮した街路空間における交通安全看板の設置提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 61巻243-244
駅前の街路空間は広告看板や路上駐車が多く、運転手は道路の標識を見落とすことがある。東京都福生市の福生駅前道路でも「進入禁止」の道路標識に気づかずに左折してしまい、一方通行の道路に進入してしまう場所がある。道路標識を補完するために交通安全看板が設置されており、「この先右折禁止」の文字とピクトグラムで表現されている。この看板の設置場所やサイズ、デザインは各自治体の裁量に任されており、カーブ手前に1個所設置される場合がほとんどである。そこで、本研究では、シークエンスに配慮した複数の交通安全看板の設置位置およびデザインを提案した。福生駅前の片側1車線道路の左折禁止看板を対象として、CGにより道路空間を再現して、ドライブシミュレータによる運転タスクを与えた状況で、標識の気づきやすさの評価実験を行った。実験1では看板数と内容の変化に着目した3案による印象評価実験、実験2では設置間隔に着目した3案による印象評価実験、実験3ではデザインの変化に着目した印象評価とアイマークカメラによる注視時間実験を行った。その結果、運転手が気づきやすいのは、同じ内容の看板を一度に見えるように位置し、色彩の変化のあるデザインであることが分かった。
学術論文(共著)2014年7月山手線新駅周辺再開発の景観デザイン提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 61巻229-230
JR東日本の山手線は、将来、品川駅と田町駅の間に存在する約20ヘクタールの車両基地跡地を整理して、そこに生まれる広大なエリアの再開発に伴って、新しい街の中心になる駅を設置する構想がある。現在、新駅全体像の構想はあるが、具体的な計画はまだ決まっていない。そこで、本研究ではこの構想に従って新駅周辺の再開発の景観デザイン提案を行った。条件整理では、新駅はオフィスや観光地に近く、景色が良い、羽田空港や新幹線へのアクセスが良い、などを現地調査や文献調査で整理した。デザインコンセプトは、「Eco-Green, International City, Transportation Exchange Hub」に決定し、風力発電や太陽光を取り入れたビルの造形、駅と一体となったホテルやバスターミナル、駅名を「Tokyo Bay Tower Station」と命名し、国際的な会議場やシンボルタワーを設定した。デザイン検討では、フォーラムエイト社のUC-win/Roadを用いたVirtual Realityの空間を制作して、利用者の視点やホテルからの眺望、周辺からの見え方に考慮した魅力的なデザインを提案した。
学術論文(共著)2014年7月電気自動車近接サイン音の提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 61巻57-58
電気自動車はエンジン音が発生しないため、歩行者が車の接近に気がつかず危険を感じている。米運輸省道路交通安全局は2013年に歩行者の安全のため電気自動車に最低限の音の発生を義務づける規則案を公表した。一方、商業車がバックする時に「注意音+バックします」という音声で注意を促している。また、グーグルは運転中でもスマホを安全に扱える技術を車各社と開発しており、今後、車が運転手の声や視線の動きを検知して必要な情報を入手したり発信できるようになる。そこで、本研究では検知技術により電気自動車から歩行者への近接注意サイン音を発生させる際に、歩行者が気づきやすく、退こうと思うサイン音の提案を行った。屋外の道路に普通車を停車し、スピーカーからのサイン音を発生させ、前方10mの位置で前方を向いた状態で、印象評価実験を実施した。被験者の印象をSD法で評価し、分散分析により効果的なサイン音を分析した。その結果、近接注意サイン音は、歩行者が攻撃的な性格の場合は「エンジン音+車が通ります」、隔離的な性格の場合は「電子音+すみません+どいてください」を発生すると良いことが分かった。
学術論文(共著)2014年8月ヘッドマウントディスプレイを用いた歩行環境シミュレータによる誤進入対策検討第34回交通工学研究発表会論文集567-570
社会的に問題となっている歩行者等の高速道路への誤進入に関して,現状の対策の調査と課題整理を行い,フォトモンタージュにより誘目性と注意喚起能力の観点から,効果的な空間認知やメッセージの訴求能力について検討し,ヘッドマウントディスプレイを用いた実験により検証した.
学術論文(共著)2015年3月釜山新交通システムの高架橋デザイン拓殖大学理工学研究報告Vol.13, No.217-20
 
学術論文(共著)2015年7月金属テクスチャ選定に関する体系的指標の検討デザイン学研究 Vol.62, No.485-92
ショットブラスト加工と鏡面加工を施した無彩色系金属のテクスチャを例に,製品のテクスチャ選定における,ユーザとデザイナーおよび加工業者とデザイナーのイメージ共有に用いる体系的選定指標について検討した.金属の表面性状や光の反射特性を測定し,ユーザには個人差が生じにくい単感覚用語で,デザイナーにはコンセプト用語などの抽象概念で主観評価をさせ,測定した物理量と心理量の関係を構造分析により明らかにし,重み付けによって指標として提案した.
学術論文(共著)2016年2月誘目性・可読性・審美性に配慮した高速道路の横断幕デザイン交通工学論文集第2巻,第2号B15-B22
本論文では、運転環境を再現した CG 動画を用いたアイマーク実験、印象評価実験、さらに実物大の横断幕を用いた現場実験を通して得られた知見と推奨案選定の検討経緯を報告するものである。
学術論文(共著)2016年6月手紙を書くきっかけづくりの提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 63巻173-174
インターネットが発達し、手紙が衰退しているので、若者に手紙の良さを再認識させ、手紙を書くためのきっかけをつくる。<br>手紙をかかない若者へ訴求するために広告に絞った。大学生を集めた座談会を開いた結果、手紙には温かみがあるという、手紙を書くタイミングがわからないということがあげられた。普段はテレビCMは目にしないということで、トレインチャンネル広告に絞った。<br> 手紙のあたたかみやぬくもりをテーマにした15秒のアニメーションと、ふみの日を伝えて手紙をかくきっかけをつくる30秒の動画を制作した。この動画を視聴することで若者たちは、手紙をかくきっかけをつくり興味を持つと期待できる。
学術論文(共著)2017年2月アナモルフォーシスを用いた路面立体標示のデザイン交通工学論文集 第3巻,第2号 A230-A237
逆走する運転者には標示に気づきやすく、正常走行時には運転への支障が少ないことを条件に制作した。逆走行時および正常走行時の見え方を簡易CG動画により確認した後、最終デザイン4案に対して、CG動画による印象評価実験、ドライブシミュレータ実験を行い、緑色の円柱ブロック矢印案を最も優れる案として選定した。その後、現場での試験施工により舗装素材と施工性を考慮して、直線構成となる六角柱ブロック矢印デザインを制作した。
学術論文(共著)2017年2月軽度認知障害有病者に対する逆走対策の効果交通工学論文集 第3巻,第2号B53-B60
日本の高速道路において、交通事故または車両確保に至る逆走事案は毎年約200件程度発生している。このため、高速道路会社は学識経験者の意見等を踏まえ、路面矢印標示等の対策を講じてきた。一方で軽度認知障害有病者に対してもこれらの対策が有効に働いているかは不明であった。そこで本研究では逆走しているCG動画を健常高齢者と軽度認知障害有病者に見せ、主として逆走に気づく時間を比べることで、両者の比較を実施した。
その結果、全体的には健常高齢者、軽度認知障害有病者ともに路面矢印標示、標識、大型看板が逆走対策として有効であり、気が付くまでの時間や気が付いた理由についても両者に有意な差は認められなかった。ただし、軽度認知症に病状が進行した者や一部の軽度認知障害有病者については道路側の対策の限界を示唆する結果が示された。
学術論文(共著)2017年6月パーキングエリア流入部への視覚的誤進入対策日本デザイン学会研究発表大会概要集 64巻280-281
高速道路での逆走が問題になっている。現在、看板や路面標識などの視覚的対策がされているが、どの対策がどれほどの効果をもたらすかは明らかにされていない。そこで、どの対策や組み合わせが効果があるのか検証する。場所はパーキングエリアの入り口を想定した。路面舗装、指摘する看板の数、指摘する看板の色、路面標識を組み合わせて検証した。CGでサンプルを作ってドライブシミュレータで実験をした。その結果、空間を占める赤色の面積を大きくするほうが効果が高まることが分かった。
学術論文(共著)2017年6月大学におけるチャイムシステムの提案日本デザイン学会研究発表大会概要集 64巻482-483
現在のチャイムのメロディは1950年代登場して以来ほとんど変化がない。これに音楽的要素としてハーモニー、リズム、テンポ、アクセントを加え、気分転換や前持って行動を促すことを目的としたチャイムシステムを考案した。
学生と教員をターゲットとし、それぞれ授業開始前の着席を促す始業チャイム、授業開始超過の防止を促す就業チャイムを作成した。始業チャイムは放送する時間帯にあった音楽を選び、授業開始三分前からBGMとして放送し、気分転換と、途中テンポを速めることで聞く人の行動を速める効果をもたらす。就業チャイムは就業の以前に時報を鳴らし、授業の終わりのタイミングを前もってしらせるようにした。
学術論文(共著)2017年11月Basic Study of Cognitive Function of MCI: for Prevention of Wrong-Way DrivingITS WORLD CONGRESS 2017CD-ROM
In Japan, almost 200 cases of wrong-way driving on expressways that lead to traffic accidents and/or securing abandoned vehicles occur every year. In our research, we showed healthy elderly people and people with Mild Cognitive Impairment (herein MCI) CG movies of a car driving in the opposite direction and compared the time until the viewer noticed the traffic violation. Obtaining basic information of cognitive function in MCI will help for further consideration regarding connected vehicles. The results conclude that pavement arrow markings, signs and large signboards were effective in preventing wrong-way driving for both healthy elderly people and people with MCI. There indicated no significant differences between recognition and the reason for the recognition. However, the results also indicated a limit to effectiveness of roadside measures for those with advanced mild dementia or some people with MCI. It is necessary to consider measures to wrong-way driving using ITS such as connected vehicles in the future.
学術論文(共著)2018年2月アナモルフォーシスを用いた逆走対策立体路面標示のデザイン交通工学論文集 第4巻,第1号B57-B63
逆走対策における注意喚起機能の向上を目的に,立体表現で路面標示をデザインし,その有効性を検証した.逆走行時および正常走行時の見え方を簡易 CG 動画により確認し,最終デザインの4案に対しCG 動画による印象評価実験を行った.実験結果から緑色の円柱ブロックに矢印を配置した案を選定し,現場での試験施工を踏まえて六角柱ブロックに矢印を配置したデザインを提案した.
学術論文(共著)2018年6月住民発信型まちづくりの取り組み日本デザイン学会研究発表大会概要集 65巻270-271
2008年に八王子市清川町・太陽町会の住民有志による地域再生プロジェクトを立ち上げ、地域住民へのアンケート調査により、地域の抱える課題を整理してまちづくり活動を始めた。八王子市地区まちづくり推進条例の「まちづくり準備会」に登録され活動が本格化した。地域の課題として、隣接する浅川の防災対策と架橋への影響軽減、河川敷の有効利用、高齢化に伴う交流の機会づくりや暮らしづくり、行事によるにぎわいづくりなどが挙げられた。これまでに、架橋工事に関してアプローチ道路の地域への影響軽減、河川整備の調査検討、街区公園の再生計画を進め、東京都や八王子市に整備の促進を働きかけてきた。この間、まちづくりの啓発と住民の交流を進めるため「落ち葉焚き」や「さくら祭り」を開催、景観づくりの実践として市の公園アドプト制度に参加して花壇づくりにも取り組んでいる。2016年には再度住民アンケートを実施して、地域の「総合的なまちづくり計画」に取り組んだ。調査検討は約1年をかけて、意見交換会を開催しながら整備の方針をとりまとめた。本論はまちづくり準備会の10年間の活動を報告するものである。
学術論文(共著)2018年6月運転手に一時停止を促す立体横断歩道日本デザイン学会研究発表大会概要集 65巻454-455
道路交通法による規定では、歩行者が信号機のない横断歩道を渡ろうとしている場合、車は一時停止しなければならない。しかし、一時停止をしていない車は9割以上と非常に多い。それは、多くの運転手が「後続車がなく、通り過ぎれば歩行者は渡れる」と認識しているためである。交通の安全を確保するためには、横断歩道では「歩行者が優先である」という運転手の意識を向上させる必要がある。海外の報告では横断歩道を立体的に見えるようペイントしたところ、速度抑制の効果が認められている。そこで、本研究では視覚効果を利用したメッセージ入りの立体横断歩道を提案した。文字によるメッセージは、車優先へ意識を変えることを考慮して「歩行者優先」とした。配色はフォトモンタージュで色の明度差と文字との色合いに着目した案を複数比較検討し、その中から文字の見えやすさと色合いの良いオレンジと黒文字の組み合わせを選定した。大学構内の横断歩道にペイントを施し、学内で運行をしているバス運転手4名にヒヤリングしたところ、全員から「横断歩道が目立っていた」、「メッセージが伝わりやすかった」という回答が得られた。
学術論文(共著)2018年8月高速道路出口部における逆走への気づきやすさと空間構成要素の関係第38回交通工学研究発表会論文集71-74
筆者らが検討してきた高速道路の視覚的逆走対策では、対策案のCG動画サンプルを視聴して気づきやすさや違和感をSD法により評価してきたが、逆走動画を繰り返し視聴するため目立ちやすさの評価になっていた。そこで、本研究では逆走動画サンプルに複数の正常走行サンプルを混ぜて、初見で逆走に気づく位置を計測することで気づきやすさを評価した。「路面の赤色舗装」、「立体路面標示」、「林立する注意看板」で構成した空間を対象として、遠方から高速道路出口部へ接近する際の気づきやすさと空間の構成要素の関係を探った。その結果、逆走の判断に寄与するのは「赤色舗装全面」、「赤色舗装部分」、「注意看板多数」の順であり、道路空間に赤色の占める面積の割合が大きいほど逆走に気づきやすい傾向を確認した。
学術論文(共著)2018年9月Experiments on patients with MCI to confirm effects of masures against wrong-way driving25th ITS World CongressCD-ROM
On expressways in Japan, approximately 200 wrong way driving cases leading to traffic accidents or recovery of abandoned vehicles occur every year. Therefore, based on the opinions of academics and experts, expressway companies have implemented measures a gainst wrong way driving such as pavement arrow markings, signs, large signboards. However, it is still unknown whether these measures work effectively on patients with Mild Cognitive Impairment (herein MCI). Hence, Nakagawa et al. 1) conducted experiments on healthy elderly persons and persons with MCI using CG moving images of wrong way driving, and presented the possibility that, as an overall tendency, conventional measures against wrong way driving are also effective on persons with MCI. In this research, as a further study of measures against wrong way driving, we devised two types of measures methodologies i.e., on board voice guidance on the main lanes of expressways, and indication of wrong way driving by LED signboards installed on the roadside at e xpressway exits conducted experiments on healthy elderly persons and persons with MCI, and analyzed the effectiveness of these measures. The results showed that, healthy elderly persons and persons with MCI showed similar tendencies when they saw the CGs i n which each measure was shown. With regard to the measure of on board voice guidance, the careful guidance by two sentences was preferred to the brief guidance by one sentence. With regard to the messages displayed on LED signboards, the wording "Driving wrong way! Go back", which showed the situation and the indication most briefly, was the best one. In addition, it was found that blinking message displays (which alternately displayed two patterns) were difficult for persons with MCI to understand.
学術論文(共著)2019年2月視覚的逆走対策提示時における MCI 有病者を含む高齢者の逆走への気づきやすさの CG 動画を用いた評価交通工学論文集 第5巻, 第4号A217-A222
日本の高速道路において逆走は年約200件程度発生しており、これらを防止するために 逆走対策が実施されている。しかし対策導入後も逆走は依然発生しており、逆走対策の効果を検証する必要がある。逆走発生者の 7 割以上が高齢者であり、その中には 認知機能の低下の疑いがある者も含まれている。本論文では、逆走 C G 動画を用いて逆走に気づくか否かを測定することで、MCI 有病者への視覚的逆走対策の効果を検証した。その結果、 MCI 有病者 に対し、PA 入路部における矢印標示は 健常高齢者 へと同等の効果があること、IC 出路部における進入禁止標識・矢印標示は 健常高齢者より 効果が小さいこと、進入禁止文字看板を加えることで効果が大きくなることが分かった。一方で、逆走対策を見ていながら逆走に気づくことが出来なかった実験参加者も存在した。
学術論文(共著)2019年3月高速道路における軽度認知障害有病者による逆走通知内容の評価交通工学論文集 第5巻, 第4号 B1-B6
高速道路を逆走したドライバの7割が高齢者であり、その中には軽度認知障害有病者が含まれているため、どのような逆走通知内容が軽度認知障害有病者にとって有効であるかを検討する必要がある。ITS技術の活用を想定した車内設備からの音声通知と、高速道路に設置するLED表示板を用いた文字による通知を対象として、どのような通知内容が逆走を知らせるのにふさわしいのか、自分の状況を確認し落ちついて行動できるのかを確認するため評価実験を行った。その結果、音声案内では、現状と指示を与える「逆走の恐れがあります。進行方向を確認してください」が最も良い評価であった。LED表示板を用いた実験では、逆走を知らせるのに最もふさわしいのは「逆走 もどれ」であり、切り替え表示の評価は低かった。以上から、逆走通知内容は単純で直接的な文言がふさわしいと考えられる。
学術論文(共著)2019年6月上り下り両方向から立体に見える横断歩道日本デザイン学会研究発表大会概要集 66巻516-517
道路交通法による規定では、歩行者が信号機のない横断歩道を渡ろうとしている場合、車は一時停止しなければならない。しかし、一時停止をしていない車は9割以上と非常に多い。それは、多くの運転手が「後続車がなく、通り過ぎれば歩行者は渡れる」と認識しているためである。筆者らは2018年に視覚効果を利用したメッセージ入りの立体横断歩道を考案し、その効果が確認された。しかし、この横断歩道は一方向からは立体に見えるが、逆方向からは立体に見えないという課題があった。そこで、本研究では、両方向から立体に見える横断歩道をデザインした。大学構内の中央線のない横断歩道を対象とした。白線は4本のためメッセージは4文字の「横断優先」を選定した。配色は色の明度差と文字との色合いに着目した案を比較検討した結果、「青地+白文字」、「黄色地+黒文字」の2つを選定した。側面表現では、両方向が異なる色となるため、ドライバの見やすさに配慮して「太線での表現」を選定した。実物を大学構内にペイントし、大学生20名に動的視点での見え方をヒヤリングした結果、初見で半数が驚くものの、歩行者がいる時に止まる人は9割と良い結果が得られた。
学術論文(共著)2019年8月ドライビングシミュレータ実験による逆走ドライバーの視行動の特徴に関する分析第39回交通工学研究発表会論文集703-709
日本の高速道路において逆走は年間約200 件程度発生している。そのため高速道路各社は逆走対策を進めてきたが、逆走は依然発生しており、更なる逆走対策の検討が必要である。逆走した人の7 割以上が高齢者であり、中には認知機能低下の疑いがある人も含まれる。本研究では、CG により高速道路IC の出入口が接続する交差点を再現し、ドライビングシミュレータを用いて健常高齢者およびMCI 有病者に走行してもらい、進行方向の誤りや逆走発生状況を比較し、逆走の発生の有無により視行動の傾向に差があるかを分析した。その結果、進行方向を誤り逆走し続けた被験者の割合において両者に有意な差は見られなかった。また、逆走し続けた被験者は、逆走せず正しく走行した被験者と比べて、視行動範囲が狭い傾向が見られた。さらに、逆走し続けた被験者全員が矢印路面標示を注視しており、一部の被験者は自身の逆走に気づいたが逆走を抑制できなかったことも判明した。従って、逆走し続けた被験者の視行動範囲等を踏まえた逆走対策の施工位置や内容の検討が必要であると分かった。
学術論文(共著)2020年2月ドライビングシミュレータ実験による逆走ドライバーの視行動の特徴に関する分析交通工学論文集 第6巻, 第2号B29-B36
年間約 200 件程度発生する高速道路の逆走に対し様々な逆走対策を進めているが、依然として逆走は発生しており更なる逆走対策の検討が必要である。 逆走の約 7 割が高齢者であり、認知機能低下が疑われる人も含まれる。本研究では、CG により高速道路 IC 接続交差点を再現し、ドライビングシミュレータにより健常高齢者と MCI 有病者に走行してもらい、逆走発生状況や視行動を分析した。 その結果、両者の逆走発生状況に有意差は見られなかった。また、逆走し続けた被験者は、正しく走行した被験者と比べて視行動範囲が狭い傾向が見られた。従って、逆走し続けた被験者の視行動範囲等を踏まえた逆走対策の検討が必要だと判明した。
学術論文(共著)2020年4月ドライブシミュレータを用いた高速道路サグ部における路面標示対策による速度回復評価交通工学論文集 第6巻, 第4号A1-A5
高速道路における渋滞の発生要因の約4割がサグ部および上り坂の速度低下であり、サグ部における渋滞解消は重要な課題である。渋滞対策はハード面での交通容量を増やす工事、ソフト面でのカーナビからの情報提供や自動運転の開発など新たな技術革新が行われているが、普及するにはコストや時間がかかる。本研究ではドライバの視界の大部分を占める路面に着目し、ドライブシミュレータ実験により高速道路サグ部における速度回復に寄与する路面標示対策を探った。その結果、減速感を高めるためにアローマークを密から疎に設置ピッチを変えた案、および文字により「上り坂」「速度回復」と直接指示を出した案の効果が高いことが分かった。
学術論文(共著)2020年6月信号なし横断歩道においてドライバに一時停止を促す立体路面標示日本デザイン学会研究発表大会概要集 67巻212-213
信号機のない横断歩道は歩行者が優先であり、その手前で停止できるように速度を落として進まなければならない。そのため、横断歩道の予告として手前にダイヤマークが設置されているが、ほとんどのドライバが速度を落とさずに、歩行者がいても一時停止していないのが現状である。そのため、歩行者優先の意識向上に加え、後続車からの追突を防止するためには、早めの減速を促す必要がある。
本研究では立体文字標示の内容や設置位置、横断歩道の強調および赤色舗装が横断歩道での減速および一時停止の意識向上にどの程度効果があるかを、ドライブシミュレータを用いて検証した。その結果、立体文字標示の効果が高く、配置はダイヤマークの手前、さらに赤色舗装により効果が高まる傾向があることが分かった。これは、立体文字標示はダイヤマークや横断歩道の強調よりも直接的にドライバへメッセージが伝わるためと考えられる。また、手前に配置することにより準備ができる、赤色舗装は注意を喚起されるため評価が高かったと考えられる。
学術論文(共著)2020年8月トラフィックカウンタデータを用いた交通流イメージ動画の制作と類型化交通工学研究発表会論文集 40191-194
首都圏の高速道路の渋滞情報はトラフィックカウンタで計測した車両の速度データを用いて、渋滞の発生位置や延長、状況を可変情報板やルート図形などにより提供している。本研究では、トラフィックカウンタデータを活用した新たな交通情報提供を目指して、CGによる交通流動画を制作した。交通流を把握しやすいカメラポジションを比較評価した結果、CCTVカメラと同じハイポジションの評価が高かった。動画制作の効率化のための交通流イメージの類型化では、現状の交通状況を網羅する交通流として車両速度と交通密度の組み合わせで18動画を制作し、一対比較による類似度評価と分析により交通状況を8つに分類した。交通流のイメージは、自由流領域では交通密度、境界領域では交通密度と速度、渋滞流領域では速度の影響を受けるという傾向を見出した。
学術論文(共著)2021年4月高速道路インターチェンジ出口部の誤進入対策におけるCG動画を用いた気づきやすさの評価交通工学論文集 第7巻, 第4号B17-B21
日本の高速道路では逆走が毎年 200 件も発生しており、様々な逆走対策が実施されている。しかし対策導入後も依然として発生しており、効果的な逆走対策を検証する必要がある。本研究では、逆走の原因となる高速道路インターチェンジ出口部での誤進入に着目し、一般道から左折してすぐに進路を判断することになる横浜横須賀道路浦賀インターチェンジ出口部をモデルケースとして、誤進入防止対策の比較評価を実施した。カラー舗装、注意看板、左専用レーンの組み合わせによる対策案に対して、ドライバ視線の CG 動画を用いて誤進入への気づきの評価実験を行った。その結果、注意看板による「注意喚起」よりもカラー舗装による「進路誘導」の方が誤進入に早いタイミングでの気づきに効果があることが分かった。
学術論文(共著)2021年4月高齢者や軽度認知障害有病者の特性に配慮した高速道路逆走対策の取組み自動車技術 vol.75, No.496-101
本稿では,高速道路逆走および対策における国内外の現状と研究動向,著者らが行ってきた健常高齢者とMCI 有病者を対象に実施してきた特性把握実験と新しい対策方法の提案,それにより得られた知見を紹介した.今後は,本研究で同時に取得している遂行機能を含む認知機能検査の結果についての詳細分析を行う予定である.
 研究を進める中で,さまざまな逆走対策が行われているにもかかわらず,なぜ過失や認識しない逆走が発生するのか簡単には理解がし難い状況が多々あった.実験をしながら状況を紐解いていくと,加齢や認知機能にかかわらず,条件が揃うと人は簡単に騙されるということや,自分の行動を疑わないことが逆走の気づき遅れの要因となることが示唆された.このような状況は高速道路以外でも,誰にでも起こりうることである.運転能力が基準を満たさない者に運転を断念してもらうこ
とは,逆走リスクを低減するために必要不可欠なことである.それと同時に,環境やシステム側でまだ逆走防止のために改善できる余地はあると考える.
学術論文(共著)2021年6月前方注意を促す立体路面標示のメッセージ内容と出現タイミング日本デザイン学会研究発表大会概要集 68巻5D01-02
本研究では立体路面標示のメッセージ内容の検証と、路面標示出現のタイミングと停止意欲の関係を明らかにする検証を行った。その結果、メッセージは 「歩行者優先」のように厳格なイメージの評価が高かった。出現タイミングでは、設置数は多いほど停止意欲は高まるものの、直前への配置は逆効果であることが分かった。今後の課題として、ドライバの視線がどの様に動いているのか調査して、停止意欲へのマイナス効果の原因を明らかにする必要がある。
学術論文(共著)2021年6月放置自転車禁止を促す床面シートと看板および音声アナウンス日本デザイン学会研究発表大会概要集 68巻P1-10_01-02
本研究では立体床面シート、看板および音声アナウンスの3要素の対策について、有無と呼びかけ内容による駐輪への躊躇および景観への阻害への重要度を検証した。駅に近い繁華街の歩道では、ルールを守ってもらうという厳しい姿勢が必要で、特に違反者に直接注意を促す音声アナウンス対策が効果的であることが分かった。景観面では立体床面シートは無い方が、評価が高いことから、景観面への配慮が今後の課題である。
学術論文(共著)2021年7月速度回復を目的とした高速道路サグ部における路面標示対策自動車技術 vol.75, No.770-75
本稿では高速道路サグ部における速度回復に効果のある路面標示を探るため,アローマーク,ドットライン,文字の案に対してドライブシミュレータ実験による速度回復への行為と意識の評価結果を紹介した.運転挙動では速度低下に早く対応したのは,アローマークを密から疎に設置ピッチを変えて減速感を高めた案,文字により「上り坂 速度回復」と直接指示を出した案であった.意識調査でも速度回復への評価が高いのはこの2案であった.
間隔を疎にすることで減速感を高める効果があることは,減速感の先行事例や筆者らの施工実績から示されており,マークの設置間隔と減速感に関係があることが確認できた.設置間隔の変化はドットライン(8mから20mの2.5倍)に対して,アローマーク(6mから30mの5倍)の方が大きく,減速感と疎から密へのギャップに関係性があることが示唆された.減速感を感じ行動を起こすための適切な設置間隔は今後の課題である.
学術論文(共著)2022年6月ウルシの木を材料とした置き時計と掛け時計の制作日本デザイン学会研究発表大会概要集 69 (0)120-121
日本の漆の約95%は中国産の輸入品となっており、漆の栽培に関わる人口の減少と高齢化が課題となっている。ウルシ植栽活動の収益化と支援を目的として、「ウルシの木活用プロジェクト」が2020年から始まり、筆者らも参画している。本活動の一環として、漆掻きを終えて伐採された木材を利用した商品開発を行なっており、置き時計と掛け時計を制作した。 制作に当たっては、ウルシの木の特徴である「樹皮の掻き傷」、「黄色い材色」を見せる方針とした。懸念事項として、樹皮部はかぶれ成分の残留、木質部では黄色味の色抜けが挙げられたため、塗装による表面コーティングの検討を行った。その結果、水性のウレタン塗料が最適であることが分かった。 時計の文字盤は、漆のレトロな雰囲気と数字の7 が「漆」を表すことにちなんで行書体の大字・漢数字とした。置き時計は、樹皮に入った掻き傷を正面に見せ、文字盤は柾目面の黄色い材色を見せるデザインとした。掛け時計はウルシの木の木口面の年輪を文字盤として活かしたデザインとした。掻き傷や節の位置によって、作品の表情が異なり特別感のある作品になったと考える。
学術論文(共著)2022年6月テキストマイニングを用いた眺望道路の評価構造日本デザイン学会研究発表大会概要集 69 (0)370-371
眺望道路の評価構造を分析し、道路景観のあり方について知見を得ることで、地域の価値向上に効果的に寄与することができる。本研究では眺望の優れた山岳道路を対象とし、テキストマイニング分析により、評価構造を明らかにすることを目的とした。山岳眺望道路の事例は観光ガイド口コミレビューをサンプルとして収集した。KH Coderを用いて口コミ文章から多数出現するキーワードを抽出し、同一概念のキーワードを集約として選出し頻出回数、出現順の関係を示した集計表を作成した。グラフ理論のDEMATEL法により有向グラフを作成し、評価構造図として整理した。この結果、原因要因では「紅葉」が上位にあり、眺望道路の主な観光時期である10-11月と合致することから、旅行のきっかけとして重要な要素であることが分かった。また、「スカイライン」から「ドライブ」そして「コース」「楽しい」の構造があり、走りごたえのある道路が評価されていることが分かった。環境施設では、「温泉」「無料」が原因要因となっていることから、温泉や無料化道路も旅行のきっかけになると考えられる。
学術論文(共著)2022年6月信号機のない横断歩道直前での一時停止誘導標示による運転者の注視挙動日本デザイン学会研究発表大会概要集 69 (0)372-373
信号機のない横断歩道は歩行者が優先であり、運転者はその手前で停車できるように速度を落として進まなければならない。</p><p>筆者らはドライビングシミュレーターを用いた実験により、「歩行者優先」の立体路面標示が運転者の停止意欲を高める効果があり、設置数は多い方が良いが、横断歩道の直前では逆効果という結果を導いた。その理由は立体路面標示に誘目され、歩行者への注意が怠るためと予想された。そこで、本研究では、横断歩道の直前に立体路面標示がある場合での運転者の注視挙動の調査実験を行った。横断歩道の直前での立体路面標示の有無による運転者の注視挙動を分析した結果、歩行者までの35mまで近づく区間では、歩行者への注視回数は、標示有りが1回に対して無しが2回と多くなり、注視時間も1秒程度長くなることが分かった。この区間では路面標示に注視しており、その分、歩行者への注視が減ったためと考えられる。また、路面標示部分でのカラー舗装の有無では、注視挙動に違いは見られなかった。以上から、歩行者への注視を高めるためには、立体路面標示は横断歩道から離して設置するのが望ましいことが分かった。
学術論文(共著)2022年6月高齢運転者の一時停止意欲と路面標示の出現タイミングの関係日本デザイン学会研究発表大会概要集 69 (0)184-185
信号機のない横断歩道は歩行者が優先であり、ドライバはその手前で停車できるように速度を落として進まなければならない。筆者らはドライビングシミュレーターを用いた実験により、「歩行者優先」の立体路面標示が運転者の停止意欲を高める効果があり、設置数は多い方が良いが、横断歩道直前の設置はマイナス効果であることが分かった。しかし、本実験では、路面標示が無い場合、白文字だけの標示との比較は無く、被験者は学生だけであった。そこで、本研究では、被験者は高齢者と若者を対象として、地色無しの立体文字標示の設置位置と数、および文字標示の地色による一時停止意欲の関係を明らかにするために実験を行った。実験の結果、設置数は数が増えるほど停止意欲の評価が高まり、設置位置に関係なく有りの評価が高く、カラー舗装は面積が広いほど評価が高まる傾向がみられた。高齢者と若者の違いは若者の方が評価の幅が大きいものの、評価傾向は同じであった。今回の高齢被験者は、ほぼ全員がダイヤマークの意味を理解しており、いわば優良運転者であった。そのため、路面文字標示が無い場合でも停止意欲が高く、評価の幅が小さかったと考えられる。
学術論文(共著)2022年7月交通状況データと交通流イメージの関係日本デザイン学会研究論文集 69 (2)51-56
首都圏の都市間高速道路では、約2km 間隔に設置されたトラフィックカウンタを用いて計測されたデータによって交通流の状態を把握し、交通情報を提供している。この情報提供は情報板の文字や、地図の路線上に渋滞状況を色で示すのが一般的であり、実際の交通の流れは想像しにくいものになっている。交通状況データを用いて交通の流れをCG 動画で視覚化すれば、交通状況の直感的な理解に役立つと考えられる。しかし、計測データ毎にCG 動画を生成するのは効率的とはいえない。そこで、トラフィックカウンタで計測される車両速度と交通密度および大型車混入率を変数としてCG 動画を作成し、交通流イメージのグループ化を試みた。その結果、走行速度と交通密度を変数とした類似度実験では、昼夜に限らず高速域では交通密度、低速域では車両速度の違いが交通流イメージに影響するという関係を見出した。大型車混入率を変数とした実験では、その違いには大きな差はなく、大型車混入率20%程度の変化で違いを認識できるという傾向を見出した。
学術論文(共著)2022年8月一般道路から高速道路入口へのカラー舗装による進路誘導の評価交通工学研究発表会論文集 42 (0)283-287
高速道路での逆走の原因の一つに IC 出口部への誤進入が挙げられる。本研究では一般道路から交差点を経由して IC 入口へと進むルートの進路誘導を目的とした、カラー舗装や文字による路面標示の比較評価を行った。カラー舗装は全面、両側、無し、交差点内は実線、破線、無し、高速入口部は文字標示の縦配置、横配置、無しとし、3×3ラテン方格により9サンプルを作成し、ドライビングシミュレータを用いた評価実験を行った。その結果、誘導効果への影響が最も大きいのはカラー舗装のタイプであり、全面舗装が最も評価が高いものの、両側舗装でもその6割の効果があることが分かった。交差点内では実線が最も評価が高く、破線はその5割程度の効果であった。
学術論文(共著)2022年8月路面標示文字の視認距離と可読距離交通工学研究発表会論文集 42 (0)289-294
路面標示は運転者の視野の大部分を占めることから、メッセージの伝達に有効であり、法定外表示として様々な文字標示が敷設されている。筆者らは文字が立体的に見える 3D 文字標示の開発を進めており、その可読性の高さを特徴として挙げているが、通常の 2D 文字標示との定量的な比較は行っていない。そこで、本研究では、3D 標示を含めた路面標示の種類別の運転者視点による視認距離と可読距離の評価実験を行った。その結果、視認距離は路面標示の種類にあまり影響せず、60~70m の範囲であった。可読距離は路面標示の種類に影響し、3D 標示は 2D 標示と比べて 13~20m 遠くから可読出来ることが分かった。その要因は文字配置であり、縦書きよりも横書きで、かつ一文字の文字高が高い方が可読性が高い傾向にあることが分かった。
学術論文(共著)2023年2月路面文字標示の視認距離および可読距離の測定実験交通工学論文集 9 (2)A_376-A_385
路面標示は運転者の視野の大部分を占めることから、メッセージの伝達に有効であり、法定外表示として様々な文字標示が敷設されている。筆者らは路面文字が縦横比 1:1 にみえる立体文字標示の開発を進めており、その可読性の高さを特徴として挙げているが、視認距離や可読距離の計測は行っていない。そこで、本研究では、基礎的なデータを蓄積することを目的として、現行の路面標示と立体文字標示の種類別に運転者視点による視認距離と可読距離の実測実験を行った。その結果、視認距離は 63~75m の範囲で路面標示の種類および被験者の年齢の影響は小さかった。可読距離は 19~42m で標示の種類に影響し、立体文字標示は現行の標示と比べて 13~20m 距離が大きいことが分かった。
学術論文(共著)2023年6月VR自転車シミュレータを用いた危機回避による体験プログラム日本デザイン学会研究発表大会概要集 70 (0)508-509
本研究ではヘッドマウントディスプレイを装着したVR自転車シミュレータによる体験プログラムを制作した。自転車事故が起きやすいシーンとして、一時不停止や急な進路変更、横断歩道での自動車との接触のシナリオを制作した。大学生10名を被験者とした実験の結果、臨場感や危機感を感じやすく、学習効果が高いことが確認できた。頭を回すと画面も連動して流れるため、実空間と同様に左右や後方確認ができ、走行音や流れる風景が臨場感や危機感を高めるのに効果があったと考えられる
学術論文(共著)2023年6月サービスエリア駐車場での安全な歩行者誘導を目的とした路面標示日本デザイン学会研究発表大会概要集 70 (0)114-115
本研究では東北自動車道下り線上河内サービスエリアを対象とし、駐車場内での安全な歩行者誘導を目的として、憶えやすい駐車位置、歩行者が安全に歩行でき運転者が認識しやすい歩行者通路のデザインを探るためCGシミュレータを用いて評価実験を行った。被験者はVRヘッドマウントディスプレイを装着し、駐車位置および歩行者通路の比較案に対して、コントロールキーを操作しながら歩行者ルートを移動してもらった。次に歩行者通路の比較案に対して、簡易ドライブシミュレータにより運転者ルートを走行してもらった。その結果、駐車場位置を憶えやすいのは番号標示やシンボル看板であり、商業施設などで普段から見慣れているデザインが評価されていた。歩行者が認識しやすい歩行者用通路は緑舗装に「歩行差通路」の文字がある案であり、直接的なメッセージが歩行ルートとして分かりやすかったためと考えられる。一方、運転者が認識しやすい歩行者通路は、緑舗装と横断歩道であり、ピクトや文字標示は低い評価であった。
学術論文(共著)2023年6月有向関係を含めたテキストマイニングによる眺望道路の評価構造日本デザイン学会研究発表大会概要集 70 (0)112-113
眺望道路は景観資源だけでなく観光資源の一つとしても評価が高いことから、観光面を含めた評価構造を山岳・高原・海岸の3つの地形別で探った。分析は有向関係を整理するために一文ずつ解読をして行えるデータとし、編集された文章からWebサイト「日本百名道」の紹介文をテキストデータとして用いた。テキストのキーワード化と集約化をするためにKH Coderを用いて景観と観光に関係するキーワードを抽出し、類似するキーワードを集約ワードとして置き換え、一文ずつ有向関係で並び変えて、出現頻度を集計した。それを元にグラフ理論分析の一つであるDematel法の有向グラフによって評価構造として表した。その結果、各地形、走行すると爽快に感じる、眺望が絶景で最高に感じる、眺望や観光休憩地点が魅力に感じるという3つ評価構造に区分が出来た。地形別では、山岳は眺望の良い展望地点の整備が重要であるのに対して、高原と海岸では構造物の少ない開放的な走行空間を維持することが重要であることが分かった。
作品 2001年3月新玉川橋 景観設計  
 
作品 2002年3月梁川ダム9号橋 景観設計  
 
作品 2002年3月苫田ダム浮島歩道橋 景観設計  
 
作品 2003年3月カントー橋 景観設計  
 
作品 2003年3月ソウル市清渓川橋梁建設アイデアコンペ4作品奨励賞ソウル市 
 
作品 2003年3月鴇波橋 景観設計  
 
作品 2004年12月釜山新交通接続道路建設工事T/Kコンペ 1位釜山交通公団 
 
作品 2006年8月Clifton Crossing Competition 2006 3位入賞Bristol university and NCE 
 
作品 2009年5月矢部川大橋 田中賞(景観設計担当)社団法人土木学会 
 
作品 2009年5月豊島大橋 田中賞(景観設計担当)社団法人土木学会 
 
その他 2005年3月トルコ共和国「第3ボスポラス橋建設プロジェクト」案件発掘・形成調査JBIC 
 
その他 2005年3月景観緑三法の施行に伴う千葉県の景観整備に係る方針検討財団法人 千葉県建設技術センター 
 

学外活動業績
本学以外の機関(公的機関・民間団体等)を通しての活動
2002年5月~2006年10月鋼橋技術研究会 3Eデザイン部会 幹事
2006年4月~2007年3月八王子市 総合評価活用準備委員会 副委員長
2006年4月~2007年3月八王子市総合評価活用準備委員会 副委員長
2006年11月~2009年3月鋼橋技術研究会 3Eデザイン部会 部会長
2007年4月~2010年12月八王子市 八王子市総合評価審査委員会 副委員長
2009年6月~  財団法人東京都新都市づくり公社 まちづくり専門家
2009年7月~2018年3月清川太陽地域再生まちづくり準備会 景観アドバイザー
2014年4月~2018年3月八王子市総合評価方式検討会 委員
2019年4月~  八王子市入札契約制度検討会 委員
2020年3月~2022年3月首都圏における道路情報提供のあり方に関する検討会 委員
学会・学術団体等の活動
期間 区分 学会・団体名、役職名等
2003年2月~  学術団体等土木学会 会員
2004年6月~  学術団体等日本デザイン学会 会員
2010年6月~  学術団体等交通工学研究会 会員

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