岡崎 哲郎 [ OKAZAKI Tetsuro ]
大学院所属研究科 経済学研究科 職名 教授
担当科目



学内役職・課外活動担当クラブ等
大学院経済学研究科長、ジャズ研究会部長

自己紹介・学生へのメッセージ
 学生時代から、読書、楽器演奏、音楽鑑賞、映画鑑賞、サッカー・プレイなどを趣味としてきました。経済学に限らず、様々なものに興味を持っています。そして、学生時代の経験が今の私の糧となっていると思います。
 Agatha Christie は“One of the luckiest things that can happen to you in life is, I think, to have a happy childhood.”と書きました。皆さんの人生で、この中の‘a happy childhood’がこれから‘happy college days’ともなりますように。



学 歴
年月 学歴 学位
論文
1988年3月慶應義塾大学経済学部卒業 経済学学士
Externalities and Core
1990年3月慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了 経済学修士
Expectation and Taxation in the presence of Externalities
1995年3月慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得満期退学 
 

職 歴
年月 職歴
1995年4月千葉商科大学商経学部専任講師
1998年4月千葉商科大学商経学部助教授
2004年4月千葉商科大学商経学部教授
2009年4月千葉商科大学サービス創造学部教授
2014年4月拓殖大学政経学部教授

研究業績
研究分野活動
 公共の便益を実現するために、各意思決定主体にどのような誘因を与えるべきかを研究している。具体的には、交渉問題の均衡解の性質、公共財の自発的供給問題における個人の誘因、経済政策決定における政治家・有権者等の意思決定、利益団体が存在する場合の経済政策の決定、協調問題が存在する場合の文化などについて研究を進める。
 経済学やゲーム理論を分析手法としているが、問題意識は経済問題に限定されるわけではなく、広く、社会と個人の関係を研究対象としてる。また、必要に応じて政治学、社会学、歴史学での研究成果を活かした研究を進めようと努めている。
 近年は、大学院生の指導の中からデータ分析に取り組む機会も生じるようになり、自分自身の研究でも、可能であればデータ分析を取り入れることを検討している。
研究課題
 与えられた制度・ルールの下で、公共の便益と個人の誘因が両立している場合は、システムを検討し直したり、組織の構成を考え直したり、制度を再検討したり、ルールを工夫したりする必要もなく、公共問題が解決できよう。ただし実際には、公共の便益と個人の誘因が両立せず、個人が自らの便益を実現しようとすることが、結果として公共の便益の実現を妨げる場合が存在する。そして、公共の便益の実現が妨げられれば、その社会の厚生も下がってしまう。そこで、いかに公共の便益の実現と個人の誘因を両立させるかという問題を考えることを通じて、ルールや制度についての理解を深め、よりよい社会実現のための一助となる知識を生み出すことを目的とする。
研究助成等
年月 区分 課題番号・名称・題目・機関名等
2018年3月学外「メディア報道の選挙への影響についての考察」大川情報通信基金
2021年4月科学研究費補助金「不完全競争フレームを用いた消費税の転嫁に関する理論・実証研究」
資格・特許等
年月 名称
   

著書・学術論文等
種類 発行又は発表の年月 著書、学術論文、作品等の名称 発行又は発表雑誌等又は発表学会等の名称 該当頁
概要
著書(単著)1996年10月最適経済成長理論と内生的景気変動三菱経済研究所1-94
Harrod=DomarからSolowらの新古典派成長理論を経て現在の成長理論につながる最適成長理論の論理的構造を解説し、最終的にカオス理論までを概観する。その中で、均衡の存在・最適性や安定性、カオスの出現等を数理的に証明する。最後に、Harrodの目的は景気変動の説明であり、そのために成長理論において不安定な経路を導き出す必要があった、という学説史上の仮説を紹介する。この仮説の下で、Harrodからカオス出現までを経済成長理論の一貫した流れとしてまとめる。
著書(単著)1999年2月交渉問題とナッシュ・プログラム三菱経済研究所1-147
Nashの1950年と1953年の交渉問題に関する論文の論理的構造を解説し、交渉問題についての既存の独立した様々なモデルを、新しい視点からの分析を加えながらも、ナッシュ・プログラムの観点から統一的にまとめ、各モデルでの帰結を数理的に証明する。その中で、交渉解の性質とその背景にある公理の意味、現実の交渉を記述することを目的とする非協力交渉ゲームと交渉解の関係、そして交渉問題の持つ意味を説明することを目的として解説する。
著書(共著)2003年4月公共経済学の理論と実際東洋経済新報社143-167
ゲーム理論を用いて、ミクロ経済学の中で重要な経済政策の問題とマクロ経済学の中で重要な経済政策の問題を、それぞれ大きなテーマを一つ定めて、均衡結果を数理的に導き出しながら解説する。その中で、最適契約の問題が経済政策を考察する際にも重要な意味を持つことを示す。また時間的整合性が経済政策考察の中で持つ意味を示しながら、繰り返しゲーム、シグナリング・ゲームといった手法の経済政策における利用の有効性を示す。
著書(共著)2008年8月理論経済学の復権慶応大学出版会7-78, 98-99, 168-169
現在の理論経済学の中で重要な概念である、「非対称情報」、「不確実性とリスク」、「社会的選択」それぞれの内容や意味について解説。現在の最先端の経済分析の中での重要概念の正確な意味と、その問題の背景や、そこでの問題意識の重要度を、古典的な具体例などに言及しながら示す。
著書(共著)2012年4月経済学のススメミネルヴァ書房1-11, etc (Total 201)
大学1年生や一般の社会人にも経済問題の分析の方法や経済学の考え方が分かるように、数式や過度の専門用語の使用を避けながら、ミクロ経済学・マクロ経済学・財政・金融についての基礎知識を、その論理構造を明確に示しながら、そして経済学の発想法を伝えながら解説する。全体を通じて、市場機構の有効性とその限界を訴えながら、経済学の基本的構造を一通り説明している。
学術論文(単著)1992年10月公共事業における自発的貢献三田学会雑誌115-123
この論文では、従来の戦略的交渉ゲームと異なり、全体の利益の水準が内生的に交渉を通じて決定される。交渉を通じて、各個人は自発的に自らの貢献または費用負担の水準を決定する。そして一般的な自発的貢献モデルにおいて存在する問題点が克服されることが示される。つまりこの論文における交渉では、各個人が自発的に自らの貢献を決定する結果、均衡は唯一となることが示され、さらにその結果がパレート効率的となることが証明される。後者の帰結は、戦略的交渉ゲームの研究から考えると、全体の利益の内生的決定に関して新しい結果を示している。
学術論文(単著)1993年 Non-cooperative n-person bargaining games and symmetric rulesKeio Economic Studies 19-30
非協力交渉ゲームでは、通常、主体の数が三人以上の場合に、あらゆる結果が部分ゲーム完全均衡となってしまう。三人以上のゲームで均衡が唯一となるゲームでは、各主体の交渉における立場に強い非対称性が仮定されている。この論文では、各主体の交渉における立場が対称的となるような非協力交渉ゲームを考える。その結果として、各個人の効用の割引因子が論文で与えられる臨界値よりも大きければ、どのような非協力交渉ゲームを考えてもその均衡は無限個となる、という一種の不可能性定理が証明される。一方もし割引因子が臨界値よりも小さければ、均衡が唯一となる対称的な非協力交渉ゲームが存在することが証明される。
学術論文(単著)1995年12月外部性の下での需要法則千葉商大論叢3-82
混雑効果のような外部性が存在する場合、所得効果が働かなくても外部性を発生する財について需要法則が成り立たない可能性がある。この論文では従来のモデルをさらに一般化させて、需要法則が成立する必要十分条件を導き出している。さらに外部性を発生する財と代替関係もしくは補完関係にある財の需要について、そして市場の安定性についても分析し、需要法則との関係が導き出される。
学術論文(単著)1996年3月最適課税と新税導入の効果―外部性と一律課税について―千葉商大論叢63-78
この論文では、混雑効果のような外部性が存在する場合に、個人間で共通な税を課すといった一律課税について考察している。まず、外部性を発生させる財と関連財に対する最適税率が示される。また、補助的政策として関連財に対する間接的課税を導入することの効果についても分析する。政府がまず外部性を発生する財に直接的課税を行い、その上でその効果を観察しながら、関連財に対する間接的課税を実行に移して政策効果を補正する、という政策の判断基準が示される。
学術論文(単著)1998年9月非凸交渉問題と非期待効用―序数的Nash交渉解と基数的Nash交渉解の関係―千葉商大論叢107-118
Rubinstein, Safra, and Thomson (1992)では、選好順序が必ずしも期待効用仮説を満たさないとして議論を展開し、特に選好順序が期待効用仮説を満たすならば、序数的表現でのNash交渉解と通常の(基数的表現での)Nash交渉解とは同じ結果をもたらすことが示されている。ただし、彼らの議論では、相関混合戦略を用いないと実現できないような結果は交渉解においてあらかじめ排除されている。彼らの議論では交渉問題がある種の凸性を満たすことを前提としていることを、まずこの論文では証明する。そこで凸性を前提とせず、相関混合戦略も交渉解となり得るように序数的表現でのNash交渉解を定義する。獲得競争ゲームを考え、序数的表現でのNash交渉解は、通常のNash交渉解とは異なったものとなることを示す。
学術論文(単著)1999年10月The productivity of the Indian software industryKonodai Bulletin of Economic Studies 35-148
1990年から1997年にかけてインドのソフトウェア産業は毎年50%以上の成長率を維持し、世界中から注目を集めている。そこでこの論文では、インドのソフトウェア会社のデータを集計し、生産性を計測している。その結果、収益に占める輸出の割合が大きい企業ほど一人当たり収益が小さくなっていることが確認できた。インドのソフトウェア産業分析の代表的な著作であるHeeks(1996)では、国内向けよりも輸出の方が収益が大きいことが指摘されているが、この論文では、企業単位で比較すれば、輸出志向の企業の方が生産性が低くなっているという事実を指摘する。
学術論文(単著)2003年5月公共財の自発的貢献とNPO地球環境レポート0-98
NPOの経済活動を公共財の自発的貢献モデルを用いて解釈し、その中でNPOと政府の関係について考察している。政府による所得再分配が望まれる場合や、逆に不平等を拡大させる再分配が望まれる場合などが示される。また、政府の失敗が行政コストの上昇等の形で現れるならば、NPOの経済活動がより重要となること、ただしその場合でも公共財に積極的に貢献していない主体が多数存在する時には、政府による公共財供給が望まれることなどが示される。さらに、生産技術が通常のモデルと異なったものである場合では、望ましい所得再分配も通常とは異なったものとなることが示される。この観点から、環境問題と海外への資金援助の関連を考察することも可能となる。
学術論文(単著)2005年7月公共財の自発的貢献と集団の構成公共選択の研究24-33
この論文では、公共財の費用を負担するか負担しないかを各経済主体が決めるモデルが分析されている。特にこの論文では、従来の分析と異なり、集団の構成員の選好が異なる場合の各主体の行動を分析する。具体的には、費用の負担を重く感じる主体と軽く感じる主体の二つのタイプを考える。その上で、各主体が混合戦略を用いた場合の対称的Nash均衡を考える。特に、ある均衡では、費用負担を軽く感じる主体がより積極的にフリー・ライドし、費用負担を重く感じる主体がより積極的に公共財の費用を負担することが証明される。
学術論文(単著)2006年3月環境問題と個人の誘因国府台経済研究41-71
この論文では、個人と社会の関係がいかに個人の誘因に影響を与え、それが環境対策とどのようにつながっていくのかを分析している。具体的には、まず公共財の自発的貢献モデルを用いて環境問題を考察する。そこでは、各主体の貢献が完全代替である場合と、弱い結合関係にある場合それぞれにおける、所得分配と環境対策の水準を導き出している。その結果を基に近年の中国での所得分配に関して言及する。さらにソーシャル・キャピタルに注目して環境問題について考察する。そこでは無限回繰り返しゲームの手法を用いてソーシャル・キャピタルを定義し、社会的及び私的便益の拡大ペースとソーシャル・キャピタルとの関係を導き出している。その結果を基にして近年の日本や中国の社会状況に関して言及する。
学術論文(単著)2006年9月公共財の自発的貢献モデルにおける効率性と所得再分配千葉商大論叢49-59
この論文では、公共財の自発的貢献モデルでの中立性定理を出発点として、所得再分配と公共財の水準との関係について、効用関数をコブ=ダグラス型に特定化して分析する。従来の研究では、効率性と公平性のトレード・オフが指摘されてきた。この論文では、自発的貢献モデルでの効率性が必ずしも公平性を犠牲としているわけではないことを数値例で示す。そこから、個人の自発的貢献を通じて公共の利益を実現しようとする場合には、公共の利益をより重視する主体へ所得を移転すべきである、ということを主張する。公共の利益をより重視する主体であることの必要十分条件がこの論文では導き出される。
学術論文(単著)2009年7月ダウンズ・モデル、中位投票者定理と政党の政策調整能力公共選択の研究6-24
政党の能力に関する情報が非対称的である場合を考え、そこでの政党の政策決定を考察。能力の高い政党が、自らの能力を有権者に示すために、極端な政策を選挙で訴えるという分離均衡の存在を証明し、その均衡の性質を分析する。その結果、政党のイデオロギー・ポジションが極端な場合は、政党は中位投票者が望む政策を選択するのに対して、政党のイデオロギー・ポジションが中位投票者のイデオロギー・ポジションに近い場合には、政党は極端な政策を選択する可能性が本稿で示される。また、能力の劣る政党の能力が向上し、政党間の能力差が小さくなると、直感的な帰結とは逆に、有権者の効用が下がる可能性なども本稿では示される。
学術論文(単著)2012年9月外部性を持つ非分割財の公平配分千葉商大論叢1-11
この論文では、一つの非分割財と貨幣が存在する経済を考え、その経済における公平な資源配分について考察する。公平性としては、無羨望性の概念を取り上げる。このような経済を考えた場合、一般に、無羨望な資源配分は効率的であることが示されている。また、無羨望な資源配分が一般に存在することも分かっている。ただし、もし非分割財が外部効果を持つのならば、このよう帰結が得られるとは限らない。事実、無羨望な資源配分が存在しないような例を見出すことが可能であるし、それらはこの論文中で紹介される。その上で、この論文は、外部効果が存在する場合の無羨望な資源配分を定義し、無羨望な資源配分が存在する必要十分条件を導き出す。
学術論文(単著)2012年10月Punctuality: Japanese business culture, railway service and coordination problemInternational Journal of Economics and Finance Studies77-286
現在の日本社会では、各主体の時間意識の高さが顕著となっている。ところが、明治維新前後に日本を訪れた西洋人の目には、日本人の時間意識の低さが映っていた。従来、歴史学や社会学では、この間の文化の変化を事例に基づいて説明する試みが存在していたが、そもそもなぜ一見矛盾する意識や文化が一つの社会で観察されるのかを考察をしてはいない。この論文では、ゲーム理論の「協調問題」の視点を用い、時間意識に関して2種類の均衡が存在するゲームを提示することによって、この問題に対する解釈を示す。さらに時間意識の高い均衡が進化ゲーム理論の観点から安定となる条件を考え、その視点から、日本の鉄道の定時運行をもたらした要因として従来から指摘されてきた論点を整理し、新しい解釈を示す。
学術論文(単著)2013年2月Special interest groups, public policy and social welfareJournal of Economics, Business and Management 34-38
特殊利益団体のロビー活動と政策決定の関係をコモン・エージェンシー・モデルを用いて分析する。全ての特殊利益団体がロビー活動を禁じられている場合は効率的な政策が実施される。一方、全ての特殊利益団体がロビー活動を行っている場合にも、コモン・エージェンシー・モデルの特徴から効率的な政策が導き出される。そこで、特定の利益団体のみがロビー活動を実行できる状況を考える。この場合、ロビー活動を行う利益団体の数が少ないほど政府支出の規模が大きくなることなどが導き出される。その上で、戦後日本の産業政策の功罪を、利益団体と官僚組織との関係から解釈する。
学術論文(単著)2013年3月Business culture and coordination problem: Interpretations of Just-in-Time production and on-schedule operation in JapanGlobal Business & Economics Anthology 2013210-217
現在の日本社会では、各主体の時間意識の高さが顕著となっている。ところが、明治維新前後に日本を訪れた西洋人の目には、日本人の時間意識の低さが映っていた。この論文では、ゲーム理論の「協調問題」の視点を用い、時間意識に関して2種類の均衡が存在するようなゲームを提示することによって、相矛盾する二つの文化の共存に対する解釈を示す。その上で、集団の大きさが均衡に与える影響について分析する。従来の研究結果と異なり、集団が大きいほど望ましい均衡が実現する可能性を示す一方で、各主体が正しい時間を把握できない可能性がある場合、集団が小さいほど望ましい均衡が実現しやすいことなどを示す。
学術論文(単著)2014年9月Coordination problem and coordination among groups: Effect of group size on business cultureJournal of Advanced Management Science232-235
ゲーム理論の「協調問題」を用いて、組織内に、一つの均衡では生産ラインが効率的に作動し、他方の均衡ではそうでない、という2つの均衡が存在するゲームを考える。その上で、組織の個人に数によって、前者の均衡が成立しやすいか否かが変わることを示し、その特性に基づき、全体の組織を、いかに部分的な組織に分割すべきか、という部分組織間の協調問題を考える。
学術論文(単著)2017年3月協調問題として考える文化拓殖大学論集 政治・経済・法律研究119-129
現在の日本社会では、鉄道の定時運行など、時間意識の鋭敏さが当たり前に観察される。一方で、明治維新前後には、日本人の時間意識の乏しさが西洋人の目には顕著であった。そこで、このように相反する二つの文化の共存を、文化の公共財的な性質に着目しながら、主体相互の依存関係を協調ゲームとして記述することによって説明する。具体的には、複数均衡の存在を示し、さらに各均衡において各主体の時間厳守の程度が同じであること、さらに時間厳守であるほどパレート改善となることも示す。一方で、同化圧力の存在を仮定すると、各主体がより時間厳守であることが必ずしもパレート改善とならないことを示す。
学術論文(単著)2017年4月立憲的経済学の可能性レヴァイアサン46-66
永いこと経済学では政治システムや政治的意思決定そのものを分析対象としていなかった。ところが近年、「政治経済学」「比較制度分析」「立憲的経済学」と呼ばれる研究が発表されてきている。それらは、立憲的枠組みが経済活動にどのような影響を与えるのか、立憲的枠組みがどのように決まってくるのか、といった問題について分析をしている。本稿では、代表的な研究を紹介しながら、立憲的取り決めが課税問題でのコミットメントとなることを切り口にして、財政制約の下で税決定の権限が立憲的取り決めにどのような影響を与えるかを考察する。さらに支配者層の割引因子と民主制の制度としての安定性の関係を示す。
学術論文(単著)2019年3月優意性と報道拓殖大学論集 政治・経済・法律研究135-141
報道機関の多様性が選挙に与える影響について研究をする。この論文では,右翼的政党と左翼的政党の2つが存在するとする。報道機関については,右翼的報道機関,左翼的報道機関,中道な報道機関の3つがあるとする。各報道機関はどちらの政党を支持するか決め,その支持に従って報道姿勢を決める。そして,各有権者は,その各報道機関の報道をもとに,政党の誘意性を推測して投票し,選挙の結果が定まる。各政党はこのような影響を考慮してお互いに政策を選ぶことになるが,この論文では,その政党の政策決定の競争に関してのナッシュ均衡を求め,その性質を考察する。特に,従来の研究結果と異なり,常に純粋戦略から成るナッシュ均衡が存在し,しかもその均衡は唯一であることが示される。加えて,その均衡では,政党の政策は,政党や報道機関のイデオロギーとは独立であることも示される。
学術論文(単著)2024年3月報道機関の複数性と戦略的情報操作拓殖大学論集 政治・経済・法律研究1-15
報道機関間の戦略的依存関係および報道機関の報道と有権者の意思決定の相互依存関係に焦点を絞り、報道機関の選挙での情報の戦略的操作を特に考察対象とする。提供する情報が粗い場合は、正直な情報提供が完全ベイジアン均衡を構成し、他の均衡よりもパレート劣位とならないことが示される。他方、提供する情報が精緻な場合は、正直な情報提供が完全ベイジアン均衡を構成しないか、もし正直な情報提供が完全ベイジアン均衡を構成したとしても、情報提供者間のゲームを考えた場合に、情報提供者たちにとってパレート優位なナッシュ均衡が無限個存在する状況が必ずあることが示される。
その他(単著)2007年1月モラル・ハザードと倫理崩壊公共選択の研究1-4
「モラル・ハザード」という経済学の専門用語が、「倫理崩壊」等の言葉で不適切に言い換えられてきた事実を、ゲーデルの不可能性定理がフランスのポストモダンの文脈の中で誤用されてきたことに触れながら指摘し、その背景にある日本社会や日本人的発想の特徴について、経済学から見た本来の「モラル・ハザード」の意味を確認しながら考察する。また、すでにアダム・スミスの『国富論』の中に、「モラル・ハザード」が本来問題としている構造と同じ構造の問題の考察があることを紹介し、主体の誘因を考えることの必要性、制度設計の重要性を主張する。
その他(単著)2016年2月ピケティ現象と公共選択公共選択の研究3-6
ピケティ著『21世紀の資本』がベストセラーとなったこと意味を紹介しながら、そこではあまり触れられていない日本における格差の状況を概観する。特に近年の若者の雇用に着目しながら、日本的雇用慣行の持つ意義と問題点についての解釈を示し、アングロサクソン型資本主義とライン型資本主義の対比に言及する。その上で、World Value Surveyのアンケート結果の一部に注目し、人的資本の重要性と制度変化の社会における意味を訴える。

学外活動業績
本学以外の機関(公的機関・民間団体等)を通しての活動
   
学会・学術団体等の活動
期間 区分 学会・団体名、役職名等
1991年~  学術団体等日本経済学会会員
1995年~  学術団体等日本経済政策学会会員
1995年~  学術団体等公共選択学会会員
2001年4月~2013年3月学術団体等日本経済政策学会関東部会幹事
2003年4月~2009年3月学術団体等公共選択学会幹事
2003年4月~2009年3月学術団体等公共選択学会幹事
2007年4月~2014年3月学術団体等日本経済政策学会理事
2009年4月~2012年3月学術団体等公共選択学会理事

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